Tell me, DD!
最終更新日:2026.08.12
DDが、防護服を着けない理由。
—ミツバチに刺されないのではなく、刺されにくい環境を作っている。
HACCIの後継者・DDは、養蜂作業で防護服を着けません。これは「ミツバチが刺さない」からではなく、「刺したくなる理由を与えない」ことを積み重ねてきた結果です。農薬の影響が少ない伊勢の環境・豊富な蜜源・毎日の観察から生まれる信頼関係—防護服を着けないことは、HACCI BEE FARMの環境の良さを映す一つの姿です。
養蜂家と防護服 一般的な話
一般的に養蜂家は防護服(ベールつきの帽子・白い作業服・手袋)を着用して作業します。ミツバチに刺されるリスクを下げるための基本的な装備で、特に経験の浅い養蜂家・群れの状態が不安定なとき・採蜜などの大きな作業のときには必須とされています。
防護服が白系なのにも理由があります。ミツバチは黒・茶・濃い色を天敵(熊・スズメバチなど)と関連付けて警戒する傾向があります。白は警戒されにくい色です。更には温度上昇を抑える白色が基本とされています。
ミツバチが刺す理由
ミツバチは攻撃的な虫ではありません。刺すのは「群れや女王蜂を守るため」という防衛本能からです。
- 急な動き・大きな音:驚かせると防衛反応が起きる
- 強い香り:香水・汗のにおい・アルコールが刺激になることがある
- 黒や濃い色:天敵と勘違いして警戒する
- 警報フェロモン:1匹が刺すと仲間に危険を知らせて連鎖する
- 蜜源不足のとき:食料が少なくなると群れが敏感になる
- 天気・気温:雨・低気圧・気温の変化でミツバチの気性が変わる
逆に言えば、これらの条件を取り除けばミツバチは刺す理由がなくなります。
DDが防護服を着けない理由
DDが防護服なしで作業できるのは、ミツバチが刺したくなる条件を一つひとつ取り除いてきた積み重ねがあるからです。
①農薬の影響が少ない環境
HACCI BEE FARMは農薬の影響が少ない伊勢の自然環境にあります。農薬にさらされたミツバチは敏感・攻撃的になることが知られている為、清潔な環境で育ったミツバチは、本来の穏やかな気性を保っています。
②豊富な蜜源
神宮神田のとなりという恵まれた立地に120種以上の植物が育ち、年間を通じて蜜源が豊富です。お腹が満たされているミツバチは攻撃性が低く、穏やかな状態を保てます。
③毎日の観察から生まれる信頼関係
DDは養蜂場に通い、ミツバチの状態を観察しています。「今日は機嫌がいい」「今日は敏感かもしれない」その感覚が積み重なって、ミツバチとの関係性が育まれます。
④ゆっくりした動作・静かな作業
急な動き・大きな音はミツバチを驚かせます。DDはゆっくり・静かに・落ち着いて作業することを徹底しています。
防護服を着けないことは「特別な能力」ではありません。ミツバチが刺したくなる理由を、一つひとつ丁寧に取り除いてきた結果。それがDDの養蜂のスタイルです。
「着けない」と「着けなくていい」は違う
防護服を「着けない」ことと「着けなくていい状態にする」ことは、似ているようで全然違います。
防護服は養蜂家を守る大切な道具です。DDも場合によって防護服を着用します。
HACCI BEE FARMという環境を整え・ミツバチとの関係を積み上げた結果として、今の作業スタイルがあります。
ミツバチの状態・天気・作業内容によっては、DDも慎重に対応します。防護服を着けないことはゴールではなく、良い環境とミツバチへの理解が積み重なった結果のひとつです。
HACCI養蜂家DDに、もっと深く聞いてみた
ここからは、DDに直接聞きました。防護服を着けないことについて、DDの言葉でお伝えいたします。
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Q1 防護服を着けずに作業するようになったのは、いつ頃から?
今でも時と場合によって防護服を着けています。HACCI BEE FARMを始めてから、伊勢の環境が整っていく中で、徐々に着けなくても大丈夫になっていった感じです。最初からはミツバチに慣れる目的から「防護服なしでやろう」と思っていて、気づいたら着けなくても作業できるようになっていた。そういう自然な流れでした。環境と信頼関係が積み上がった結果なので、最初から真似しようとするのは危ないと思います。
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Q2 怖くないの?という正直な疑問に答えてほしい。
恐怖というよりかは責任という感情に近かったかと思います。この数千〜数万の命を大切に扱っていく。少しずつ「このくらいの距離なら大丈夫」「この動きをするとミツバチが怒ってしまう」というのを体で覚えていって。今でも「今日は敏感かもしれないな」という日はあって、そういうときはより慎重に作業します。怖くないというより、怖い理由をひとつずつ取り除いてきた感じです。ミツバチのことを知れば知るほど、なぜ刺すのかがわかってくる。わかると怖さが変わります。
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Q3 刺されることはある?刺されたときどうする?
あります(笑)。完全にゼロではないです。でも刺されたとき、たいていは「あ、さっきの動きが急だったな」とか「燻煙機のタイミング悪かったな」とか、理由がわかります。ミツバチは理由なく刺しません。刺されたときは「何がいけなかったか」を考える機会だと思っています。だから刺されても怒る気にはなれなくて…「そうだよな」という気持ちになります。
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Q4 防護服を着けないことで、ミツバチとの関係が変わると思う?
変わると思います。防護服を着けていると、どうしても「守られている」という感覚があって、ミツバチとの間に壁がある感じがする。あと若干作業も雑になってしまうような気がして。防護服なしで向き合うと、「一緒に仕事している」という感覚が強くなります。ミツバチを管理する、ではなく、ミツバチと向き合う—その感覚が面白さだと思っています。
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Q5 防護服を着けないスタイルを通して、はちみつを受け取る人に伝えたいことは?
ミツバチは怖い存在ではない!と言うことですかね。彼女達が刺すのには理由があり、攻撃本能ではなく、防衛本能が主体です。なのでむやみやたらに刺すわけではないですし、変に刺激をしなければ刺されることはないと思っています。自然と人間の境界線を理解することも大切だなっと思いますね
まとめ
防護服なしで向き合えるミツバチが集めたはちみつ。その関係性が、一瓶の中に詰まっています。
- DDは防護服なしで養蜂作業をするのは、「刺されない」のではなく「刺したくなる理由を与えない」積み重ねの結果です。
- ミツバチが刺す理由は「急な動き・強い香り・濃い色・蜜源不足・天気」です。これらの原因を取り除くことが基本となります。
- 防護服なしで作業できる4つの理由は。「農薬が少ない環境・豊富な蜜源・毎日の観察・丁寧な動作」です。
- 環境と信頼関係の積み重ねの結果の為、「着けない」と「着けなくていい状態にする」は違います。
- 刺されることもあるけれど、理由がわかるから怒りません。ミツバチは理由なく刺さないからです。
この記事は、HACCI BEE FARMの養蜂家 DD水谷 監修のもと制作しています。
- DD Mizutani
- 1993年生まれ。100年以上続く養蜂家・水谷家の一員として生まれる。
幼少期からミツバチとともに育ち、現在はHACCI BEE FARMにて、ミツバチが健やかに暮らせる環境づくりを軸に養蜂を行っている。
HACCI BEE FARMでは、ミツバチが一年を通して過ごしやすい環境づくりに取り組み、自然と共生する養蜂を実践している。
自然と共生する養蜂を通じて、はちみつの新たな価値や可能性を探求している。
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